叔母も一緒に、母の傍で4人で夕飯を取っていた。
父がふと
化粧っ気がある母の今の顔が嫌い、と言った。
生前の母は晩年全くお化粧をしていなかった。
今日葬儀会社の人から説明を受けるまで、私がしたお化粧で母は旅立つと思い込んでいた私は
母の顔にカラーパウダーを施し母の眉を書き足し唇に私の色つきグロスを塗って、生前の血色を取り戻したかのようなお肌にできて満足していた私は
父のこの言葉で
とんでもない過ちをおかしたことに気づき
嗚咽が止まらなくなった
父の姪もいる目の前でも泣き止むこともできないまま
「お父さんごめんね、お父さんの嫌いな顔にしちゃって。お化粧落とそうか」
と、言った。
その後は言葉を継ぐこともできずしゃがみこんでしまった。
父は私に覆い被さるように抱きしめてくれて謝った。
そんなことがあってから
緊張の糸が切れ始めている。
昨夜より
流した涙が多くなった。
母はいないんだと
思うようになってしまった。
心細さが猛烈な勢いで襲いかかってくる。